私達の姉妹化計画■アースダンボールメルマガVOL217■2025年10月号-2

私には血の繋がらない双子の姉妹が居る。 え?何言ってるかわからない!? ですよね。 でも本当に居るんです。 つまりそれはこういう事で… (´o`)п(´o`*)п(´o`*)п **************************** 私は至って普通の女子高生。だと思ってたんだけど、 どうやら私には出生の秘密があるらしい。 証拠は…ないの。"勘"ってやつね。 ほら、誰でもそういう経験あるじゃない? 理屈では説明できないけど、心の奥底で何かが叫んでる、的なあれ。 私ね、時々ふっと感じる時があるの。 "私は本当はお父さんとお母さんの子じゃないのかも"って。 でもどうしてそう思うのかハッキリした理由は自分でもわからなくて。 しいて言えば、お父さんにもお母さんにも全然似てない事くらい。 後はそう、俗にいう中二病ってやつかしら。 訳あり少女に憧れちゃって妄想が止まらない状態なのかも。 でも、私にそう思わせる理由がもう一つだけある。 それは私が小学校に入学して間もない頃にお母さんから聞いた話。 お母さんが私を産む時、産院で同室だった別の妊婦さんが居て、 その人もうちと苗字が同じ"斉藤"さん。 そして予定日も同じで、二人とも予定日通りに出産。出産した時間も近い。 更に生まれた子供は二人とも女の子。 極めつけは、両家とも前もって決めていた名前が、"翼(つばさ)"。 つまり、同日同時刻、同じ場所で二人の「斉藤翼」が誕生した。 その後、それぞれの家の事情で済む場所は他県になったけど、 お母さん同士は友達になり、今も時々連絡を取り合っているらしい。 ただ、私達 "斉藤翼" はお互いの顔も知らない。 その話を聞いたばかりの頃は「ふ~ん」程度にしか思わなかったけど、 私が中学三年生の時、受験で煮詰まってて反抗期も重なって、 「なんでこんな親の元に生まれたんだろう!?」 なんて思った事があってその時、ふと昔聞いたもう一人の斉藤翼がリンクした。 後はご想像通り。 コナンの漫画の読みすぎも手伝って"取り違え疑惑"が頭から離れなくなった。 _____________ 私が「斉藤翼ちゃんに会いたい」とお母さんに言うと、 「あら~良いわね!あんた達も友達になりなさいよ」とお母さんは喜んだ。 そして私達二人の斉藤翼は高二の夏に初めて会った。 初めて会った斉藤翼の第一印象は、"うちの両親に似てるかも?"だった。 後で聞いた話だけど、向こうも同じことを思っていたらしい。 そして私達は初めて会ったとは思えない程あっという間に打ち解けた。 「ねえ翼ちゃん、会って早々でなんだけど話したい事があって」 「え?偶然!私も話したい事があるの、翼ちゃん」 私は彼女の話を聞いて驚愕した。 私が話したい事と全く同じ事を彼女も話そうとしていたからだ。 「やだ、ちょっと待って、何これ、怖わ…」 「わからないけど、私達、何かで繋がってた…??」 その後も次々と二人の共通点が発覚した。 趣味や習い事、好きな教科や嫌いな教科、推しのアーティスト、 病気やケガ、人間関係、好きになった男の子の特徴、その他諸々、 二人はとても似た人生を歩んでいた事がわかった。 「ちょっと待って!色々頭がこんがらがってきた…」 「そうね、一度整理しましょう」 「私達は似た人生を歩んできて、取り違え疑惑があって…」 「うんそう。ただ、似た人生と取り違え疑惑は分けて考えるべきね」 「そうね、分けましょう」 「で、私達の優先事項は、やっぱり取り違え疑惑よね」 「そうね、で、どうしようか…」 どうするもこうするも無い。もし本当に疑惑を解消したいなら、 お金も時間もかかるけどDNA鑑定が手っ取り早い。 が、それは最後の手段にすることにした。 「ねえ翼ちゃん」 「なに?翼ちゃん」 「もしかしてさ、押し入れの奥にこのくらいのダンボール箱あるでしょ?」 「有る!やっぱり翼ちゃんちにもあるんだ!」 「あの産院さんが、退院時に荷物多い人とか送る人とか用にくれるやつ!」 「うん、今は生まれた時からの思い出の品とかいっぱい入ってる」 「やっぱりそんなところまで同じか…」 「ねえ、お互いの箱を持ち合って一緒に中身見てみない?」 「いいよ、今、私も同じ事考えてた!」 「何か"手掛かり"になるものが入ってるかも…」 「そうね、何か"手掛かりが"…」 _______ 後日、私達は親には内緒で互いの箱を押入れから引っ張り出して持ち寄った。 互いに見せ合う事で "取り違えを証明する手掛かり" を得ようとした。 でも、二人が見たものは予想とは全く違うものだった… 全てが同じと思われた私達の人生。 そして一見するとダンボール箱に入っていたのもほぼ同じ、 臍(へそ)の緒や、新生児の時の洋服や、成長と一緒に撮った写真や、 そんな品々が入っていた。でも… 「ねえ、箱の中身はほぼ同じだけど、なんか違うね…」 「うん、違うね、全然違う…」 何が違うのか?それを言葉で説明するのは少し難しい。 なんて言うか、それぞれの品物はそれぞれの人生だけを示していたように感じた。 両親が買ってくれた洋服とか、写真の中の両親の笑顔は、 確かに我が子を想って、我が子だけに向けたもので、 もう一人の翼ちゃんのダンボール箱とその中身は、 もう一人の翼ちゃんだけのもので、決して私のものじゃない。 そう思わせるに充分な両親の想いが、箱の中には詰まっていた。 「ねえ、翼ちゃん、あのさ…」 「待って!私が先に言う、いい?」 「いいよ、たぶん同じだよね、言いたい事」 私達は互いの目をじっと見た… 「やっぱり、なんか、今の自分でいいかなって」 「私は私で、あなたはあなた、それでいいよね」 「たとえ取り違えが有っても無くても、どうでもいいかなって」 「うん、100%同意」 ちょっと遠回りしたかもだけど、 今日ここで、私達二人が互いに自分は自分だと気づく為には、 きっと全てが必要なプロセスだったんだと思う。 きっと誰かが、神様?なのかしら? 今の私が想像できるのはそれしかないけど、 名前が同じ者同士が同じ日に生まれたのも、 産院がダンボール箱をくれたのも、 そのダンボール箱を両家とも同じ用途で使い続けたのも、 二人が似た人生を歩んだのだって全部、 "私は私、他の誰でもない、私はお父さんとお母さんの子" と私達に気付かせる為だったんだと思う。 そしてたぶん、いいえ絶対、翼ちゃんも同じ事を考えてるはずだわ。 ________ そしてその日の締めくくりに私達は一つの契約を交わした。 "ねえ、私達って前世でやっぱり双子だったんじゃないかしら" "私もその線は考えた、でも…" "でも前世で双子だからって今世で似た人生とは限らない、とも思った、よね?" "そう、それでもう一つの線が浮かんだの" "前世は1つの魂だったけど今世で2つの魂に分離したっていうあれ、でしょ?" "そう、ツインソウルってやつ" "ツインソウルって共通点が多いらしいよね" "共通点もだけど、私達ってホント思考も似てるよね" "もう今世でも双子って事で良くない?" "安直だね" "私が安直なの、よく知ってるでしょ?" "知ってる知ってる。でも私もそれでいい、じゃなくてそれがいい!" なら、"義姉妹契約" 成立だね! _______ 帰宅後、私は持ち出したダンボール箱を誰にも気づかれないように、 そっと押入れの元の場所に仕舞って静かに戸を閉めた。 きっとこのダンボールにはこれからも私の想い出が詰まっていくんだ。 その時突然、背後からお母さんのささやくような声がした。 「で、納得はできたの?」 「うん、できた」 「ご飯できてるよ」 「ありがと、今行くよ」 FIN (おまけ) 「あ、ちょっとまって…すっごい重要な事に気が付いた!  ねえ翼ちゃん、  もし二人で同じ男の人を好きになったらどうすればいいのかな??」 98-2 (´o`)п(´o`*)п(´o`*)п ****************************     あ と が き 血の繋がりってなんだろうと、 考えた事がある人は多いのではないでしょうか? 世界には色んな思想や考え方があると思いますが、 日本人にとって血の繋がりは本当に大切な事だと思います。 それ故にもっとちゃんと理解して、 もっとちゃんと説明できるようになりたいと、今も思います。 まだまだ私はそれが不十分。 それでもその追及を止めてはならないと、 私の血がそう言っているようです(笑) あなたはどうですか?血の繋がりってなんだろうって。 今号も最後までお読み下さりありがとうございました。 m(__;)m ライティング兼編集長:メリーゴーランド

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