中学三年生!愛について悩んでみた■アースダンボールメルマガVOL218■2025年11月号

みんなとぼけたフリしてさ、 本当は誰でも一度は考えた事があるはずだ。 "本当の愛って何だろう?"って。 年齢なんて関係ないよ。 俺はまだ中3だけど、今日、今まさに、 "本当の愛って何だろう?"って 考えさせられてるところなんだ。 あれを見たら誰だってそうなるさ… (´o`)п(´o`*)п(´o`*)п **************************** 俺は親戚の葬儀でとある斎場に来ていた。 亡くなったのは大伯母で、ほとんど会ったこともない人だ。 そのせいか悲しい気持ちなども無く、少し退屈していた。 そして長いお経やらなんやらが(やっと)終わり、 出棺前の釘打ちが始まろうとした時だった。 「待って、待ってくれ、頼む!!」 突然、そう叫ぶ声が斎場に響き渡った。 声の主は、たった今到着したばかりの車いすに乗った老人男性だった。 なにかすごく焦っている様子で、老人は車いすを押す付き添いの人を制し、 自分の両手で車輪を回して、急いで棺に向かって進もうとした。 すると車いすがカタカタと揺れ、老人の膝の上にあった何かが僕の目の前で "コトン" と落ちた。 よく見ると、それは小さな段ボール箱だった。 よっぽど大事な物が入ってるんだろうか? 老人はほんの一瞬、この世の終わりかと思う様な表情で落とした箱を見つめた。 俺はすぐにその箱を広い…っというか体が自然と動いた。 "拾わなきゃ!!"って。 俺が箱を老人に手渡すと、老人は "すまない、ありがとう" と俺に丁寧に頭を下げ、棺の元へ向かった。 すると喪主の男性(故人の息子さん)がその老人に、 「父さん、来れたんだね、良かった」 と言って安堵の顔を見せた。 突然の出来事に少しざわつく中、俺は訝(いぶか)しげな顔で、 「だれ?」とポツリと漏らした。 すると隣に居た知らないおじさんが、 「そっか、君は知らないか、あの人はね…」 そこからの話は、まるで物語か何かにしか聞こえなかった。 自分が生きている世界の事とは到底思えなかった。 ________ まだ戦後の混乱が残る中、二人の若い男女が出会った。 二人は、一生に一度しかないと確信できる程の深く激しい恋に墜ちた。 二人は結婚の約束をしたが、周りは二人の結婚に大反対した。 反対の理由は "家柄の違い"。 地主の娘と貧しい家の青年の結婚を、両家共々が大反対した。 それでも二人の決意は揺るがず、二人は遂に駆け落ちを決行した。 誰も頼る事の出来ない地で、二人の生活は困窮を極めた。 それでも支え合って懸命に働き、やがて二人は男の子を授かった。 そしてその頃になり、ようやく両家は二人の結婚を認めた。 それでも二人は、一族として認められた後も親の援助は受けず、 懸命に働いて、その後に3人の子供にも恵まれ、 決して裕福ではないけど幸せに暮らしていた、はずだった。 これからも幸せ暮らしていく、はずだった。 働きすぎが祟(たた)ったのか、単に運命だったのか、 二人が "老人" と呼ばれるようになって10年ほど過ぎた頃、 奥さんは病に倒れ、施設で暮らすことになった。 けど運命は二人を更なる苦難に陥(おとしい)れた。 奥さんが施設に移った後すぐ、ご主人は事故にあった。 切断こそ免(まぬが)れたものの、二度と自分の足では歩けなくなり、 奥さんとは別の施設で暮らす事になった。 どうして愛し合う夫婦が別々の場所で暮らさなければならないのか? 事情…その一言で割り切れる人がこの世にどれくらい居るだろうか? それとも、割り切れる人の方が多いんだろうか? そして二人は会えないまま13年が過ぎた。13年もだ。 この13年は、二人にとってどんな13年だったのだろう。 会いたい人に会えない13年ってどんな13年なんだろう。 もう二度と会えないかもしれないと思いながら暮らす13年って、 どんだけ、どんだけ苦しいだろう。 そしてやっとの思いの再会が奥さんの葬儀って… 俺は、俺は何をどうすればいいんだろう? _______ "今日だけは、今日だけはたとえ死んでも行かなくては" この老人、ご主人はそう思ったに違えない。 俺にはそのくらいの想像しかできなかった。 その場にいる全員が、ご主人の振る舞いを見守った。 静かだった。無音だった。 静寂がこんなに重くて深いものだと初めて知った。 まるで "静寂の音が大轟音で聞こえる" ような感覚だった。 「ほら、寿美子(すみこ)、持って来たよ、  今度の結婚記念日に二人で開けようって約束してた箱、  その前にお互いに施設に入所しちまったけどな、  だから今日ここで一緒に開けよう」 ご主人はその小さなダンボール箱を静かに開いた。 二人が施設入所前、二人で最後に行った旅行先で、 一緒に作った焼き物の湯呑を自宅に郵送して貰ったものだった。 二人はこの箱を一緒に開けてお茶を飲む日を楽しみにしていた。 「寿美子、この湯呑、片方持って行けよ。  こっちは俺が後で持って逝くからさ、あっちで一緒に飲もう。  葬儀屋さん、これ、入れてもらってもいいですか?」 葬儀屋さんは優しく微笑んで "はい" と頷いた。 その返事を聞いたご主人は安心したような表情で、 もう一度奥さんを見つめて最後に一言だけ、こう言った。 「やっと、会えたな」 ______ 家に帰ってからも、俺は葬儀での光景が頭から離れなかった。 "愛" なんていう言葉が頭の中で渦巻いていた。 あれが本当の "愛" ってやつなんかな? いつかは俺もあんな "愛" を知ることができるんかな? 愛する人との大切な物を入れたダンボール箱を、 あんなに大事そうに握りしめたりするんかな? なんて事も考えたが、あの二人の "愛" には、 到底追いつく事も、辿り着く事もできない気がした。 でも何か、それでも何かせずにはいられなかったから、 俺は今までの生涯の中で一番真剣に、懸命に必死で考えた。 でもやっぱり、大した答えは出せなかった。 そのやっと出したちっぽけな答えってのが、 "今はとにかく精一杯生きるしかねえ" それだけだった。 98-2 (´o`)п(´o`*)п(´o`*)п ****************************     あ と が き 「中二病」をウィキペディアで見ると、 中学2年生頃の思春期に見られる、背伸びしがちな言動を自虐する語。 転じて、思春期にありがちな自己愛に満ちた空想や嗜好などを揶揄したネットスラング。 と出ています。 なるほど、うまい事表現した言葉だなと思いながらも、 世代に関わらず「中二病」の人って意外と多いよな、とも思いました。 何より、私自身が中二病っぽいと思えてならないのです。 だから逆にお聞きしたいのですが、あなたは、 「自分は中二病じゃありません」って言い切れますか? もし言い切れたらその考え自体が「中二病」じゃない? などと強引な理論を展開してしまう私はやっぱり「中二病」っぽいです。 今号も最後までお読み下さりありがとうございました。 m(__;)m 11月某日 ライティング兼編集長:メリーゴーランド

次のメルマガへ: 

バックナンバー一覧に戻る

ダンボールを買うなら創業72年の工場直営ダンボール専門店【アースダンボール】格安・丈夫な箱を1箱から販売、最短当日出荷でお届け!

  1. ダンボール通販・購入 トップ
  2. 箱職人のメールマガジン
  3. 2025年11月号 中学三年生!愛について悩んでみた■アースダンボールメルマガVOL218■