~ぜってぇ負けねえ~■アースダンボールメルマガVOL221■2025年12月号-2

なんでこんなにお米高いんだ!! なんでこんなに野菜高いんだ!! 何でこんなに生活苦しいんだ!! 情けなくて涙が出てきた。 祖父(じい)ちゃんさえ元気でいてくれたら… そんな風に考えてしまっていた時だった。 祖父ちゃんの悲報が届いたのは。 (´o`)п(´o`*)п(´o`*)п **************************** 東京の大学に進学しての一人暮らし。 奨学金を借りて、バイトもできる限りして、 生活はギリギリだけど何とか大学にも通えていた。 でも急激な物価の、特に食品価格の高騰が、 俺のギリギリの生活に遂に影響し始めた。 そこに更なる追い打ちが…いやもうこれは "トドメ" だった。 俺はこの歳になるまで、スーパーで野菜や米を買った事が無かった。 「世間知らずも大概(たいがい)にしろよ」、大学の友達にもよくそう言われた。 どっかの有名人が「米を自分で買った事が無い」とか言って炎上してたけど、 まるで俺自身が炎上の種になった気分だった。 俺の実家から車で5分くらいの所に祖父ちゃんの家があり、 そこは土地も広くて、祖父ちゃんはその土地で野菜や米を作っていた。 祖父ちゃんは宅食業者みたいにしょっちゅう収穫物を持って来てくれ、 そのお陰でうちは野菜や米を買う事が殆ど無かった。 だから俺の体は祖父ちゃんちの畑が作った、と言っても過言じゃない。 そして俺が大学に進学してからも、十分な量の米や野菜を宅配で送ってくれて、 俺はそれをすっかりあてにしていたし、 もしそれが無くなったら、という計算もせずに生活の算段を立てていた。 なんていう無知、世間知らず、危機管理の欠如… そして "もしそれが無くなったら" が現実に起こった。 祖父ちゃんが入院した。 ________ 祖父ちゃんからの "現物仕送り" が無くなり、俺の生活はみるみる急変した。 価格高騰と祖父ちゃんの入院、どちらが追い打ちかトドメかはわからないけど、 まさにダブルパンチだ。 自分の無力さと馬鹿さ加減を今頃になって思い知らされた。 もう大学も辞めてしまおうか…そんな事も考え始めた。 祖父ちゃんさえ元気でいてくれたら… そんな風に考えてしまっていた時だった、 祖父ちゃんの悲報が届いたのは。 俺は祖父ちゃんを見送る為に実家に向かう電車の中でずっと考えていた。 今、自分は失意の中、それは自分でもわかった。 ただ、その失意の正体に違和感を感じ、モヤモヤしていた。 祖父ちゃんが死んで悲しい… それとも、 祖父ちゃんが死んで残念… 俺は、残念だと思ってるのか…? あわよくば病気が回復したらまた米や野菜が貰える、 その道が完全に断たれた、だから残念? そんな感情が俺の中にあるのかもしれないと思うと、 実家への足取りもどこか重くなっていった。 そんな俺の感情をよそに、 通夜も、葬儀も、火葬も初七日も、滞りなく過ぎた。 そして知り合いや親戚も帰り、家族だけになって少し落ち着いた頃、 同じく帰省していて久しぶりに会った3つ上の兄貴が声を掛けてきた。 「なあ、久しぶりに行ってみないか」 「どこへ?」 「祖父ちゃんちの納屋」 「ああ、あそこか、懐かしいね」 「じゃあ行ってみるか」 小学校の頃、俺と兄貴は一緒にその納屋に入り浸ってよく遊んでいた。 兄貴が中学校に上がって以来、もう何年も行ってない。 というか、俺が中学に入学してからは、祖父ちゃんあまり会いにすら行かなかった。 でも何故か祖父ちゃんを身近には感じていた。特に一人暮らしを始めてからは。 それは間違いなく、祖父ちゃんから定期的にダンボール箱が届いていたからだ。 お米や、野菜や、生活用品や、必要な物が、沢山。 納屋に足を踏み入れる時、何故か神社の鳥居をくぐるような感じがしたかと思えば、 あの頃と同じ匂いに一瞬昔に戻ったような感じもして、少し頭がクラッとした。 「なんか…時間が止まったみたいな場所だな…」 「誰かがここに居て、でも突然いなくなってそのまま、そんな感じ」 俺と兄貴は祖父ちゃんの存在を感じながら、 何かを確かめるように納屋にある物を一つ一つ触って歩いた。 「実際、ついこの間まで祖父ちゃんここで色々やってたんだよな」 「なんか、今も居る感じ、しない?」 「それ、ちょっとこええよ…」 すると、兄貴が納屋の角に保管してあるダンボール箱を見つけた。 20箱~30箱くらいあるだろうか? 殆どは折り畳まれていたが、2箱だけ組み上がった状態で置いてあった。 「兄ちゃんにもこの箱で届いてたでしょ?米とか野菜とか」 「ああ、うん…」 「ありがたかったよね」 「…」 「兄ちゃん?」 「…」 「兄ちゃん?どした?」 「ちょっとこっち来てみ、これ見ろよ」 「なに?」 兄貴は2箱の組み上がっていたダンボール箱を俺に見せた。 「ほら…」 「なに?…あっ!」 そのダンボール箱の蓋の上に置いてあったのは、 俺と兄貴の住所と名前が書かれてる運送会社の送り状だった。 「祖父ちゃん、入院の直前まで…俺達に…」 その瞬間、その時の全ての感情が一気に溢れ出た。 「うう…あああ~!!ちくしょう!祖父ちゃん…!!」 「おお、おいどした?急に?」 「ごめん、なんでもない、たださ…たださ、  大して良い孫でもなかったのにさ、祖父ちゃんこんなにさ、  俺達の事を想ってくれてたのにさ、ろくすっぽ会いにも来ないでさ、  それどころか送ってくれる物をあてにまでしちゃっててさ、  祖父ちゃんが入院した時、俺、自分の生活の心配したんだぜ、  ほんと馬鹿、もう俺ほんっっっと最低な馬鹿野郎だ!!」 俺はすぐに実家に戻り、 「父ちゃん、母ちゃん、俺帰るわ、また来るから!」 それだけ言い残すしてすぐに東京のアパートに戻った。 そして祖父ちゃんが最後に送ってくれたダンボール箱を前に正座した。 「祖父ちゃん、今までありがとう。  俺、祖父ちゃんが居なくても負けねえから、絶対負けねえから。  物価高騰だってくそくらえだ、ぜってえ負けねえから!」 FIN 98-2 (´o`)п(´o`*)п(´o`*)п ****************************     あ と が き とても辛い状況の時は、 誰かのせいにしてしまいたくなったり、 社会のせいにしてしまいたくなったり、 そんな経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか? 本当に悪いのは誰かと、頭がそれでいっぱいになってしまう事も、 あるかもしれません。 確かに、誰かが悪いのかもしれません。自分?他人? ただやっぱりね、誰が悪くても、 負けるわけにはいかないんですよね。 今号も最後までお読み下さりありがとうございました。 ライティング兼編集長:メリーゴーランド

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