ダンボールなんか要らないぜ!!■アースダンボールメルマガVOL203■2025年3月号-2
「ダンボール箱が悪い!ダンボール箱のせいだ!」
「は?いきなりなに言ってんの?」
「だからさ、ダンボールなんてこの世に無い方がいいんだよ!」
「いや、ダンボールは物流の発展には欠かせない…」
「いいや、俺達は騙されてるんだ!」
…大丈夫かこいつは?
と思いつつ、とりあえず話を聞いてやることにした。
するとその三年後にとんでもない事が…!?
(´o`)п(´o`*)п(´o`*)п
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俺は神路翔太(かみじしょうた)27歳、営業課のサラリーマンだ。
同僚の住田(すみだ)が何やら素っ頓狂(すっとんきょう)な事を言い出した。
俺達、別に暇って訳じゃないんだが…
「なあ神路、人類の発展とか進化ってさ…」
「じんるい!?大きく来たな」
「ああ、人類の進化。これってつまるところさ、
"より楽したい"を具現化してきたってことだろ?」
「まあ、そうとも言える、かもしれないが」
「乗り物とかさ、通信手段とかさ、道具とかさ、みんなそうじゃん。
"より楽したい"って事は言い換えると"時間の短縮"って事じゃん?」
「まあ、そう…かな?」
「で、色んな事にかけてた時間が劇的に短縮されたじゃん?
行きたい所にすぐに行けてさ、昔に比べてだけどさ。
だからさ、人と会おうと思えばすぐに会えるはずじゃん?
なのに一方で"人間関係稀薄の時代"なんて言われてるじゃん?
これって人と人が直接会わずに何でも済ますって事じゃん?」
(ん?やや理論がずれて来てないか…?)(・_・;)
「ん~…、で?」
「つまりここだよ、ここなんだよ!
人と会わないで済ませられるようになった要因の一つがさ、
このダンボールのせいだと俺は思う訳よ!」
「なんでダンボールのせいなんだよ?」
「だってダンボールがあったら何でも簡単に送れちゃうじゃん?
すぐに会えるなら直接持っていけばいいじゃん。
ダンボールがあればそれさえしなくていいほど便利だからさ、
人はその便利さにどっぷり浸かっちゃってさ、送って済ます訳さ」
「いや…その便利さがいいんじゃないか?
っていうかそれって送るのが悪くてダンボールは悪くないだろ。
っていうか別に送るのも悪くないし」
「いや違うね!人は弱いしどこか無知だからさ、
本当に大事な事に気が付かないでただ流されちゃうもんなんだよ。
卵が先かヒヨコが先かじゃないけどさ、
ダンボールがあるから送るっていう文化もより発展したんだよ!」
「だから人間関係稀薄の時代はダンボールのせい、と言いたいのか?」
「ああ、まさにその通りだ!」
(はい、暴論確定…)(*´Д`)=3
「で、お前はその立派な理論をかざして何を成すんだ?」
「俺、今からクライアントさんにこれ持って行ってくる」
「その提案商品が入ったダンボール箱を持って?クライアントさんに?」
「ああ、これ持って社用車で行ってくるぜ」
「んん~…、クライアントさんに直接行くのはいいと思う。
だがそのクライアントさんは郵送で充分に事足りるし、
今だったら他に行った方がいいクライアントさんが居るだろう」
「いや、思い立ったが吉日、いや吉時だ。
このクライアントさんの事を考えている時にこの理論が降りて来たんだ。
このクライアントさんとの関係を密にしておくことは
今後の社の発展の為にも重要だと俺は思うんだ」
(…もうなんも言うだけ無駄か…)(*´Д`)=3
「まあ、俺はお前の上司じゃないし、
俺達はある程度の行動は自由だし、お前は成績もいい方だし、
気を付けて行って来いや」
「ああ、行ってくる、行ってくるぜ!!」
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「…って事が今朝あってさ、あいつ、なんかあったんかな?」
「あ~、それあれですよ、絶対」
「やっぱそう思う?俺も何となくそう思ったんだけどさ」
「ですよね、そうならそうと素直に言えばいいのにねえ」
「まあ先方の担当者の女の子を好きになっちゃったとか言い難いか」
「ですね、ダンボール箱だってとんだとばっちりですよ」
「だな、"ダンボールは人類の敵"みたいに言いながら
ダンボールをめっちゃ大事そうに抱えて行くとかな、笑えるわ」
「でもまあ、うまく行くといいですね~」
「だな~」
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(´-`).。oO
「…という、あの日の出来事から三年が経ちました。
私は今も、あの素っ頓狂な暴論を語るあの日の住田の顔をハッキリ覚えています。
そしていつか、住田の披露宴の友人スピーチでこの話をできる日を、
私は楽しみに待ち続けました。そして今日、それが叶った訳でして!!
そしてなんと本日は!!
あの日、彼に大事に抱えられながら人類の敵認定された、
ダンボール箱さんにお越し頂きました!
こちらがそのダンボール箱さんです!
私はこの日の為に密かにこのダンボール箱を保管してました。
さあ住田、みんなの前であの日のこのダンボール箱への無礼を謝れ!!
さもないとこの披露宴の列席者全員がこの結婚を認めんぞ!」
「ダンボール箱さん、あの時は…ごめんなさい…
こ、これでいいか!?」
「よし、ダンボール箱さんもお許しになられたそうだ。
ま、お二人のご縁を作った立役者だし、家宝にでもしろよ」
「うう~、…新婦さん、あいや妻が許せば…ぜひ…」
FIN
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あ と が き
時々考えます。
ダンボールがその役目を終える時ってどんな時だろう?
それは何年後くいらいだろうか?
物質の瞬間移動とかはまだまだ先として、
ダンボールに代わる素材、
コスト、加工面、耐久面などでダンボールより優秀な材質って?
或いは物流の仕組み自体が進化して箱の概念を無くすのだろうか?
ダンボール屋でありながらダンボールを無くす概念を考えるのは、
実は楽しかったりする。
いや、ダンボール屋だからこそとも言えるのかもしれない。
でも多分、世の中の進化はこんな感じの積み重ねなんだろう。
早く見たい、ダンボールの無い世界。
今号も最後までお読み下さりありがとうございました。
m(__;)m
ライティング兼編集長:メリーゴーランド
