ダンボール係と花子さん -前編-■アースダンボール メルマガVOL122■2021年11月号

まるで現代に蘇った忍者。村人は彼らを密かにそう呼んだ。 古(いにしえ)の時代、忍は人知れず君主を、城を、領地を守った。 そして現代、人知れず、って程じゃないけどなかなか地味で、 その活動がさほど目立たない、けど確かにこの学校を守ってる。 いや学校だけじゃない、地域や村も守っている。 それがこの小学校に昔から伝わる "ダンボール係" だ。 98-2 (´o`)п(´o`)п(´o`)п **************************** 僕は小学校6年生に進級した神谷章一(かみやしょういち)。 この村唯一の小学校だけど創立100年近い伝統の小学校だ。 今年もクラスの係決めの時期になった。 そして毎年6年生だけは係の種類が多くなる。 図書係、園芸係、体育係、生きもの係・・・ 全ての係が埋まった時、僕一人だけ余っていた。 すると担任の先生がこう言った。 『一人余りの時は"ダンボール係"な』 ダンボール係・・・ この係、普段は無いのに余りが出た年だけ出現する係で、 大体3~4年ごとに現れるらしい。 定番係じゃないのに一人余ると現れる不思議な係だ。 その仕事内容はというと・・・ 人がダンボール運ぶ時に手伝ったり、あるいは一人で運んだり、 集会や祭り事でダンボールが必要な時は調達したり、 使用後のダンボールの廃棄を頑張ったりと、 つまりダンボールに関わる事なら何でも屋、なかなか地味。 キャシャーンがやらねば誰がやる、 ダンボール係がやらねば誰がやる、 な感じの、縁の下の力持ち的係なのだ。 _____________ その日の帰り、校門に校長先生と担任の原田先生が居た。 『今年は神谷君か、頑張れよ』と二人から声をかけられた。 『え?あ、はい・・・(ダンボール係の事、かな?)』 そう言えば二人ともこの学校出身だっけ、仲いいよな。 因みにこの村の人達はみんな仲がいい。 小さい村だからかもしれないが、なんていうかこう、 人と人との繋がりが深くて強いように感じる。 全然立場が違う人同士や、上下関係の人同士でも、 今みたいに声を掛け合ったり立話するのをよく見る。 地域の大人達の結束は子供にとっても安心感がある。 そして僕はその理由をあるダンボール箱で知る事になる。 (´o`)п(´o`)п(´o`)п **************************** 学校の本校舎裏には、今はほぼ使われない旧校舎があった。 木造で、廊下を歩くと"ミシっ"っていうくらい古い校舎で、 明るい昼間でも一人でここを歩くのは少し怖い場所だった。 ただ、たまに教室を使う事もあるので一週間に一度掃除をする。 でも本当に皆が怖いのは、掃除用具がある物置部屋だった・・・ この部屋は廊下の突当りにある4畳程の部屋。 ガガガ、、と引き戸を開けると入口付近に掃除用具がある。 皆、無意識に無口になって下を向いて、早足になって、 用具だけを取ってそそくさと部屋を出る。 そこには、いつからあったか誰も知らない程昔からの、 積まれたままのダンボール箱が沢山あった。 そして一番奥の箱の上には長い黒髪の人形が一体横たわっている。 人形の姿は僕らと同じ小学生くらいの女の子に見えるけど、 僕の妹が持ってる赤ちゃんごっこ用の人形くらいのサイズだ。 昔の生徒が工作の授業で作ったものか何かだろうか? 誰が何の目的でここに置いたのか?なぜこのままなのか? 児童はもちろん、先生だって誰も"彼女"を触ろうとしない。 部屋に電気は無く、入口からの僅かな光で彼女の顔が半分見える。 (たぶん)見た目はごく普通の可愛いらしいお人形だが、 そこに居るというだけで何か想像を掻き立てられずにいられない。 子供に恐怖を抱かせるに充分な"それ"は、今日もそこにいる。 でもなんだろう・・・? 僕は初めてこの人形を見た時から何か気になっていた。 ちょっと怖いけど、何となく優しそうな感じ・・・ ____________ そんなある日、ダンボール係のひょんな仕事が回ってきた。 イヤ、仕事じゃないんだけど・・・ クラスの男子仲間で旧校舎で肝試しをやろうとなった。 夜は無理なので、まだ少し明るい夕方に校舎前に集合となった。 ここは薄暗くなると一層怖い。夕方でも肝試しには充分な場所だ。 三人一組で廊下を進み、あの部屋の人形を触ってくる・・・ 子供にはちょっと無理そうなミッションだ。 一組、また一組と進むが、ビビッて誰もクリアできない。 戻ってきた奴の表情を見て次の組の奴も顔面蒼白になる。 全く、、、女子を誘わないで本当によかったよ。 女子の前でこんな情けないへっぴり腰姿は絶対に見せられない。 いよいよ最後の組、僕の組になった。 一人は下を向いたまま、一人は歌を歌いながら、 ゆっくりと歩を進めた。そして物置部屋の扉の前に来た。 すると突然一人がとんでもないことを言った!! 『お、お前ダンボール係じゃん、お前やれよ!?』(;°-°;) 『はあ!? いやダンボール関係ねえじゃん!!』(;`・Д・)ノ 僕がそう言うと別のもう一人が続けて言った。 『ご、ごめん!俺ギブ!先戻るわ!ごめん!!』(ll゜Д゜) 『お、俺もギブ!ごめん、神谷、あと頼む!!』(;゜д゜;) 『頼むって、おい、ちょっ、待てよ!おい!!』(;`・Д・)ノ バディのはずの二人は行ってしまった。 『ふうう~、ったく、仕方ねえな』ε-(‐ω‐;) 僕は深呼吸してゆっくり扉を開けた。 ガガガッ・・・ ~To Be Continued~(次号へ続く) 98-2 (´o`)п(´o`)п(´o`)п ****************************     【編集後記】 この号の執筆中、頭の中でずっと ベン・イー・キングの『スタンドバイミー』の主題歌が 流れていました。 ひと夏の経験が、まあ秋でも冬でも春でも、 経験が少年を大人にするって、ありますよね。 今日もどこかでダンボールがそのお役に立てていると思うと、 ダンボール屋としてはこの上なく嬉しいのです。 ところで、貴方は小学校時代に何か係をやってましたか? それにはどんな思い出がありますか? 意外と"ダンボール係"が実在してたりして^^ 良かったらぜひ聞かせて下さい。 さて次号ではダンボール係の秘密が遂に明らかに!? 今号も最後までお読み下さりありがとうございました。 m(__;)m ライティング兼編集長:メリーゴーランド

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