お前のモノは俺のモノですって!?■アースダンボール メルマガVOL124■2021年12月号

『お前のモノは俺のモノ、俺のモノは俺のモノ』 それ、ガキ大将がいじめられっ子にいうセリフでしょ? でもあいつは昔からそう言って私のモノを何でも持っていく。 でもあいつはガキ大将じゃない。私もいじめられっ子じゃない。 でもそんなあいつも絶対に手を出さないものがある。 それは私の部屋にある1箱のダンボール箱だ・・・ (´o`)п(´o`)п(´o`)п **************************** 私はメグ、高校二年生。あいつは幼馴染の同級生、リョウ。 リョウは小さい頃から『お前のモノは俺のモノ』と言いながら、 私のモノを、いや私のモノだけを持って行っちゃう奴だった。 まだ食べてるアイスとか宿題を終えたノートとか、 部屋にも勝手に入ってきてゲームとか漫画とかおやつとか。 さすがに思春期からは部屋のノックはしてくれるけど、 相変わらずズケズケと来てなんでも持って行っちゃう。 でも返さないとかじゃなくてちゃんと返しに来るし、 返せないモノでも『まあいっか』と思える程度のモノ。 まあそれが私とあいつのルーティーンていうか・・・ それが無いとどこか寂しいっていうか・・・ 私はリョウが好きだった。リョウも私が好きだと思ってた。 でもそんなあいつもあのダンボール箱には手を出さない。 何度か手を出したが私が断固拒否。そして今は諦めたよう。 私が何でその箱を大事にしているのかというと、 昔から母に『この箱は大事にしいや』と言われ続けたから。 そして私自身もこの箱が側にあると落着く感じが好きだった。 でもなぜ母は『大事にしいや』とずっと言っていたのだろう? ある日の夜、私は母に尋ねた。 『ねえ、あの箱って、なに・・・?』 その夜、父と母は一緒に、私と箱の事を話してくれた。 中学校卒業式の日の、夜の事だった。 (´o`)п(´o`)п(´o`)п **************************** 高校に入学してすぐ、私はとある児童養護施設園へ行った。 初めて行った日、そこの園長先生は、 『あら!?メグちゃん、久しぶり、大きくなったわね~』 ととても喜んでくれて、その後ちょくちょく行くようになった。 行って園長先生とお話したり子供達と遊んだりするだけだったが、 子供達もなついてくれ、私もとても楽しかった。 この施設園は私が今の両親の元に来る前に居た場所だ。 私はまだ赤ちゃんだったからその時の記憶はないけど、 何となく懐かしい香りがして落ち着ける場所だった。 でも同時に、どうしても湧いてくる想いもあった。それは、 私の実の母親って・・・? (今の)両親も、実母の事は分らないとの事だった。 園長先生に聞いてもいい事なのだろうか? 私は通い始めて1年近く経ってもそれを聞けずにいた。 園長先生もその事に触れることは無かった。 そして通い始めて約1年後の母の日、 箱の事を母に尋ねたように、私は園長先生に実母の事を尋ねた。 園長先生は少し躊躇し、でも静かに実母の事を話してくれた。 _________ その日の帰り道、私はずっと泣きながら家までの道を辿った。 家の前に着いたのにまだ涙が止まらず、家に入りにくかった。 そんな時、タイミング悪く一番見られたくない奴に出くわした! 『おいメグ、そんなとこで何して・・・』(・。・) 『リ、リョウ、な、何でもない!』(* v v) 『泣いてんのか?』(・。・)? 『な、泣いてない泣いてない!じゃあね!』(*ノД`*) 私はそう言って逃げるように玄関から部屋へ駆けこんだ。 私はダンボール箱を抱きしめて、声を殺して泣いた。 この箱の事を聞いた日以来、私は時々こうして泣いていた。 それからしばらくして "コンコン"『メグ、入るぞ』といってリョウが部屋に来た。 『な、何よ!私、今泣くのに忙しいの!』 『さっき泣いてないって言ってたじゃん』 『今泣き始めたの!!』 リョウは表情を変えずに私をじっと見ていた。 『なあ、くれよ、その箱・・・お前のモノは俺の・・・』 シリアスでいつものおちゃらけたリョウじゃなかった。 『いいよ、いいけど、あなたに受け取れるの?これを』 『ああ、お前のモノだからな。だから、話せよ・・・』 私はうつむいたままぽつんとつぶやいた。 『お母さん、お母さんが亡くなってたの』 『お母さん?今さっき玄関で会ったけど』 『そうじゃないの、私を産んでくれたお母さん』 『そうか・・・』 『そうかって、そこ驚くとこじゃないの?』 『驚いてるよ、めっちゃ。でも、お前のモノだから』 リョウは取り乱すでも私に質問攻めをするでもなく、 私の全てを受け入れようとしてくれているようだった。 私は初めて、私と箱の事をリョウに話した。 _________ 私がまだ寝返りもできない赤ちゃんだった頃、 私はやむにやまれぬ事情で児童保護施設園に預けられた。 その時、母は私をこの箱の中に寝かせて連れてきたそうだ。 当時の母は経済的にもかなり苦しかったらしい。 ダンボール箱といっても勿論フタを閉じる訳じゃなくて、 蓋は内側に折り込んで天面はオープン、しっかり補強もされ、 当時の私にとっては充分に安全なカゴ、ベッドだった。 でも私は何故かそのダンボール箱が好きで、ぐずった時も その中に入ればいつも落ち着いてスヤスヤと寝たそうだ。 園長先生も『まるで魔法の箱のだった』と話してくれた。 私の成長と共に箱が手狭になり一度捨てようとしたけど、 泣きながら箱を探す私を見て捨てずにいてくれたそうだ。 そして私が3歳の時に、実母は亡くなったそうです。 いつか私を迎えに来たかったと言っていたそうです。 あの箱は私と実の母を繋ぐ唯一の接点だったんです。 だからその箱は落ち着ける場所だったのかもしれません。 それからすぐに今の両親が私を養子縁組してくれました。 園長先生は両親に箱の事もちゃんと説明してくれて、 そして両親も箱の事をちゃんと受け入れてくれました。 『そっか、だからあの時・・・』 『あの時?』 『うん、俺らが小さい頃、お前の母ちゃんが俺に言ったんだ。 "リョウくん、メグのモノ、何持って行ってもかまへんけど、 あの箱だけは持って行かんといてな。 それから、いつまでもメグと仲ようしたってな"って』 『お母さんがそんな事・・・知らなかった。 リョウってば物心着いた頃には "お前のモノは俺のモノ" が 座右の銘だったもんね。でもさすがにこれは、って訳ね』 『それに俺、知ってたんだ。高校に入学したくらいから、 お前、時々この箱抱きしめて泣いてただろ』 『うっっわ、そんなとこまで見られてたの!?』 『まあ部屋に入ろうとしたら偶然、何度か・・・ でも俺、ある事に気づいてな。ってか確信してな。 それは自分の気持ちなんだけど。 "その箱をくれ"って言える時が来たら、覚悟ができたら、 お前にその気持ちを伝えようとずっと思ってた』 『ってことは、今日はその気持ちを伝えてくれる日?』 私の涙はいつしか乾いていて、 さっきまでのどうしようもない悲哀も消えていた。 『なんでこの箱が欲しいの?"お前のモノは俺のモノ"だから?』 『そうだよ。お前のモノは俺のモノだから、なんだけど、 お前のモノは、全部。だから、その、 お前の喜びとか、悲しみとか、苦しみとか、 お前のモノは、全部。そういうの全部、コミコミで全部。 だからその箱も・・・』 『・・・それって・・・告白?』(゜ω゜;) 『・・・・・』(。_。)コク 『・・・もっかい、言って・・・』(☆-ω-) 『あ~うっせ~!!黙ってその箱よこせっ!』(〃ノωノ) 『うわあ~リョウが切れた~!告白しながら切れた~! じゃあ箱の秘密を知ったからには一生責任持ってよね~』 (=´∀`)人(´∀`=) FIN 98-2 (´o`)п(´o`)п(´o`)п ****************************     【編集後記】 今回のお話のセリフ、もちろんジャイアンのセリフ^^ そして映画のジャイアンはテレビより全然カッコいい、 というのも有名ですよね。ですのでいつか、 このセリフを使って頂けないかと妄想しながら執筆しました。 お前のモノは俺のモノ、お前の喜びも悲しみも、俺のモノ 貴方なら "お前のモノは俺のモノ" の後に どんなセリフを付けますか? 今号も最後までお読み下さりありがとうございました。 m(__;)m ライティング兼編集長:メリーゴーランド

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