告白タイム■アースダンボール メルマガVOL92■2020年8月号

1 俺の幼馴染は耳が聞こえない。 家は隣同士、小中、おまけに今年進学した高校も同じ。 その高校の名は、私立百春(ももはる)高校。通称"ももこう"。 あることで全国的な超有名高校だ。 (´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п ************************************************** 彼女の名前は凛(りん)。俺の名前は宗十郎(そうじゅうろう)。 俺は凛の耳の事を気にしたことがない。 手話も自然に覚えたし、障害の手助けも普通のことだった。 凛はかなり引っ込み思案でいつも自分の性格を嘆いていたが、 そのくせ女優になりたい野望も持つちょっと不思議ちゃんだ。 俺は心のどこかで"俺が居てやんなきゃ"っていつも思ってた。 高校生活最初の夏休みが明け、秋の文化祭の準備が始まる頃、 凛は"好きな人ができたから告白したい"と打ち明けてくれた。 _____________ 凛の口から(メールだけど)恋バナが出るなんて正直驚いた。 でも一番驚いたのはそこじゃない。 凛は、 "告白もしたいけど引っ込み思案の自分も変えたい。  だから私、あれに出る!!" と宣言した!! 『おい、凛、あれってまさか、あれに出るのか!?』( ゜д゜) 『(そう、あれに出る。私決めた。私、殻を破りたいの)』( ̄ー ̄)b 『決めたって、お前、皆がわかるように話せないじゃん!』( ゜д゜) 『(大丈夫、作戦立てたから!!)』( ̄ー ̄)b 『作戦って、ほ、本当に大丈夫なのか?』(*゜Д`;) 『(うん、私頑張るよ!!)』( ̄ー ̄)b ____________ "あれ"・・・ それは文化祭の後夜祭で行われるメインイベントにして 全校生徒が最大、最強、最高に盛り上がるイベント。 その名も『百春(ももはる)高校告白タイム2020』!! もう20年もの歴史と伝統がある。 告白したい生徒(挑戦者)がステージに上がり、 まずは告白したい人への想いを全校生徒の前で打ち明ける。 そして最後に『私と付き合って下さい!!○○さん(くん)!!』と叫ぶ。 告白された人はステージに上がり、返事をしなければならない。 その返事の瞬間、全校生徒のテンションは最高潮に達する!! 結果が何であれ大歓声が沸く!! その盛り上がりは校内に留まらず、近年ではSNSでも拡散され、 #百高告白タイム のハッシュタグがトレンド入りするほどの凄さ。 実質数万人がそれを見届ける全国区イベントなのだ。 それに凛が出るという。俺はもう気が気じゃなかったヽ(´Д`ヽ) (´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п ************************************************** いよいよ文化祭の日がやってきた。 俺達一年生は初めての文化祭と後夜祭だが、 2年生3年生のテンションは朝から後夜祭に向かっていた。 校庭に設営された本格派のステージ、音響設備、照明装置。 まるでビッグアーティストのライブ会場だ。 しかも今年は学校公式SNSアカウントがライブ配信まで用意した。 俺はその凄さに畏怖さえ覚えたが、同時に凛のことで頭が一杯だった。 凛、本当に大丈夫なのか・・・(・_・;) そしてその舞台が今年もスタートした。 __________ 『みんなあ~!!!今年も告白が見たいかあ~!!』 ゜+。:.゜(ノ*´∀`)ノオオォッ゜.:。+゜ 『おまえら~!!!ニューヨークへ行きたいかあ~!!』 ヽ(*`゜∀゜´)ノォォォォォォォォォォ! 『それじゃあ一人目え~。盛大な拍手を~!!!』 オオォォヽ(゜`∀´゜)ノォォォ♪ MCが全校生徒を煽りながら巻き込む。 『○○さん、付き合って下さい!!』〃(≧へ≦)〃 『ごめんなさいっっ!!』(;´д` ) ォォォォオオオオ(′口`*ノ)ノ!!!(o´∀`o)ノォオオオオオオオオオオ* ______ 『○○くん、付き合って下さい!!』(。≧O≦)ノ 『はい、こちらこそお願いします!!』(///ω///) ☆・:゜*オオオ(′口`*ノ)ノヾ(o´∀`o)ノォオオオオオオオオオオ*゜:・☆ ______ 一人、また一人、成功する者あり、撃沈あり、 そのどれもが神聖で、本気が溢れていて、青春そのものだった。 これが百高(ももこう)名物告白タイム・・・本当に凄い。 『さあ、いよいよ今日最後の挑戦者。高宮凛さんだああ!!!』 いよいよ凛の出番だ!! 俺は全校生徒に混じってかたずをのんで見守った。 さあ凛、どうするんだ。ちゃんと見届けてやるからな。 凛は静かにステージ中央に立った。緊張している・・・。 一呼吸し、凛はゆっくり両手を動かし始めた・・・ 『(私には、好きな人が、居ます。でも、私は、引っ込み思案で、   その人に、助けられてばかり。自分を、変えたい・・・)』 これは、、、手話・・・??? 全校生徒の雰囲気が一変し、いきなりの静寂に包まれた。 しかし手話がわかる奴なんてほとんどいない。 でも全員が凛を見続けた。静かに、真剣に、でも激しく。 ほとんどの人は凛が何を言っているのかわからないのに、 誰にとってもそれは問題じゃ無かった。 このステージに立つものは誰であれ何であれ、皆で応援するんだと。 それほどこのイベントは皆の心を一つにしていた。 静寂の中、凛の手話は続いた。 いつしか、手話がわかる何人かのすすり泣く声が聞こえた。 そして、、、 『凛、凛ん~!!頑張れ!頑張れええ~!!』(」゜O゜)」 一人が凛への応援を叫んだ!! その波は会場全体に波及し、皆が凛を応援した。 『凛ちゃん!!凛ちゃん!頑張れ~!!』(」`Д´)」(」`Д´)」 凛にも皆の声が届いているようだった。 凛は告白したい人への想いの手話を終えた。 手話がわかる俺は、凛の切ない想いが痛いほどわかった。 『凛、お前、その人がよっぽど好きなんだな・・・』 俺はふと、胸の奥が強く締め付けられるような感覚を覚えた。 次はいよいよ決めセリフだ。一体どうするんだ、凛。 凛は一度後方へ下がり、畳み一畳分くらいの大きなダンボール板を 地面に伏せたままステージ中央へ引きずりながら運んできた。 そしてそのダンボール板を皆に向けてそっと立てた。 そこには大きな文字が・・・ "私と付き合って下さい" そ、そうか!!これは巨大ダンボール筆談告白!!(o゜□゜)o そして凛はルール通り大きな声で叫んだ。 『わあいど、うきあっで、ぐあざい!!』(ノ≧⊿≦) 全員が息を飲む・・・ そして凛はゆっくりとダンボールを裏返した。 そこに書かれていたのは・・・ ・・・その瞬間・・・ 俺はホワイトアウトしてしまった・・・ 30秒か、1分か、立ったまま意識が遠くなったまま、 何故か凛との思い出が走馬灯のように浮かんでいた。 凛、凛、、凛、、お前、行っちゃうのか・・俺は・・ (_д_)。o0○ 『・・・い!おい!宗十郎! ほら、呼ばれてるぞ!』(^ω^) え? よ、呼ばれてる?? 誰に?(*゜‐゜) 友達に肩をたたかれ、ふと我に返ると俺の目の前には、 生徒達が作ったモーゼの十戒のような道がステージへと続いていた。 皆が歓声を上げながら俺を見ている。ふとステージを見ると、 "宗十郎" と書かれたダンボール板を持つ凛が仁王立ちしていた。 1 宗十郎、って、俺の名前・・・?(*゜‐゜) 凛はもう一度大きな声で叫んだ。 『おうじゅうろー!!』(ノ≧⊿≦) それは幼い頃から聞きなれた、凛が俺を声で呼ぶ時の響き。 『ほら、宗十郎、早くステージに行ってやれ!!』(^ω^) 『あ、ああ、うん。わかった。行くよ、今行く』(*゜‐゜) 俺はステージに向かってゆっくりと歩き出した。 オオォォオヾ('д'*三*'∀'*三*'д')ノシオォォオオ!!!!!! ゜+。:.゜(ノ*´∀`)ノオオォッ゜.:。+゜ (゜∇゜ノノ"☆(゜∇゜ノノ"☆(゜∇゜ノノ"☆パチパチパチ!!! 会場の大歓声がなぜか遠くの方で聞こえる・・・ 凛、待ってろ、そこで待ってろ。今、行くよ。 FIN (´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п ************************************************** この話には後日談がある。 今年の告白タイム、特に凛の告白は伝説となった。 #凛ちゃんがんばれ のハッシュタグは十数万リツイートされ、 同時に #ダンボール告白 というハッシュタグも生まれた。 その後 #ダンボール告白 は、 "ダンボール板に書いて告ると成就する"という都合いい解釈に変化し、 全国でダンボール告白が社会現象になるほど流行した。 "告白専用ダンボール"をなるものまで発売され大ヒットし、 今年の流行語大賞のノミネートにもなるほどだった。 そしてもう一つ、 このライブ配信を見ていた芸能事務所から凛にスカウトが来た。 凛は卒業までは学業に専念したいという意思を示し、事務所も快諾。 卒業後に、映画出演の話も進んでいる。     【編集後記・へんしゅうこうき】 お客様に幸せになって欲しいという気持ちを、 どう伝えればいいのだろう? と考えたことはありますか? 私はあります。でも答えなんて未だにわかりません。 そもそも伝える必要だってあるのかないのかも。 ただこのメルマガはそう考え続けている一つの形なんです。 実を言うと、お客様に幸せになって欲しいのと同じくらい、 このメルマガに出てくるキャラ達にも幸せになって欲しい。 そしてそれが、最近見え隠れする一つの答えの影なんです(笑) 今号も最後までお読み頂きありがとうございました。 m(__;)m 8月某日 ライティング 兼 編集長:メリーゴーランド

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