ダンボール恋愛ヒミツ兵器論 -前編-■アースダンボールメルマガVOL152■2023年2月号

結婚はしたいけど恋愛すら全然うまくいきません。 全くモテない訳じゃない。恋人ができない訳でもない。 上手くいかなくなるのはいつも付き合い始めて少し経ってから。 しかもいつも同じ理由だ・・・ (´o`)п(´o`*)п(´o`*)п **************************** 俺は倉間洋介(くらまようすけ)32歳、独身。 『あなたはいつも本心を隠してそう、本当の気持ちがわからない』 付き合った女性はみんなそう言って去って行く。 そのきっかけは多分あの時だ。 高校生の頃、彼女が初めて俺の家へ遊びに来る事になった。 俺の胸は期待と不安でそれはもうはち切れんばかりだった訳さ。 それなのに、ああそれなのに!!! 彼女は部屋に入り部屋中に飾られた俺の趣味の数々を見た途端、 血の気が引いたようにドン引きして、 『うわ、ないわ~これ、マジ無理なんだけど・・・』 とぼそっとつぶやき、そのまま帰ってしまい、それきりだった。 フラれた事よりも好きなモノを否定されたショックが大きかった。 いや、彼女は否定したつもりは無かったのかもしれないし、 嫌いだという意思表示をしてくれただけとも言える。 まあいずれにしても拒絶されたには違いない。 でもあの時の俺は"否定された"と思い込んでしまった。 そして俺はそれを全部ダンボール箱にしまい込んでしまった。 その箱を部屋の隅に置き、時々出しては眺め、あの時を思い出し、 ふさぎ込んではまたしまい、また出し、また思い出し・・・ そんな事を繰り返すうちにいつの間にか箱の中身の事はおろか、 それ以外の自分の気持ちや本心も誰にも話さなくなってしまった。 好き=自分らしさだとすれば、 自分らしさを、自分自身を否定されたに近かったのかもしれない。 ___________ そんなこんなで上手くいかない恋愛を積み重ねること数年。 脱出の糸口も全く見えないここ数年。でも、結婚はしたい・・・ 考えに考えた俺は遂に第三者の力を借りる事にした! それも只の第三者じゃない。プロの第三者、結婚相談所だ!! 俺が選んだのは業界トップクラス実績の会員制相談所でケアも手厚い! 長年の経験と実績に基づいたデータを駆使した男女マッチングは勿論、 出会いから結婚までアドバイザーさんがキッチリサポートしてくれる! ここなら俺のトラウマも克服できるかも、そんな期待もあった。 しかも俺の専任アドバイザーさんは"神"と呼ばれる実績NO1の超ベテラン! しかも名前が『結納(ゆいのう)さん』。縁起が良すぎる!! 因みにここで特に好評なメニューが男女が直接会う前のリモート面会。 しかも男女双方の希望があればリモート面会のモニタリングもしてくれ、 それを基にしたアドバイスや後押しもしっかり行ってくれる。 俺はここで数人の女性とリモート面会し、モニタリングもお願いした。 結納さんも俺のトラウマ(らしきもの)をとても気にかけてくれ、 何とかいい形で解決できないかと色々と思案してくれていた。 それだけでもここに入会して良かったと思えた。 入会して三ヶ月ほど経った頃、結納さんから一人女性を紹介された。 今日はその人と初めてのリモート面会。結納さんからは 『お相手の話をよく聞いてあげて下さいね』とアドバイスがあった。 『自分の真意を伝えたい時こそ、お相手の真意をくみ取りましょう』 『わかりました。その方のお話をよく聞くようにします』 私はそう答えてリモート面会に臨んだ。 ___________ 『初めまして、倉間洋介と申します』 『初めまして、白井明日香(しらいあすか)と申します』 俺は一瞬で画面の向こうの彼女にくぎ付けになった。 (なんて、綺麗な女性(ひと)なんだ・・・  てかなんでこんな女性が相談所に・・・性格、かな?) 少し話してみて更に驚いた。 清楚で丁寧で知性的で、愛想も良いいとても魅力的な人だった。 好きかどうかで言えばもう既に好きだ。彼女をもっと知りたい。 にしてもやっぱりこんなに綺麗で素敵な人がなぜ・・・? 会話も弾み、気が付けばもう一時間ほど経っていた。 彼女もきっといい雰囲気と思ってくれてるはず。よし、これは!! そう思った時だった。 僕がリモートの背景隠し用に立てていたパーテーションが倒れ、 僕の部屋全体が映ってしまった。 『ありゃりゃ、ちょっと待ってて下さい、すぐ直します』 僕はそう言ってパーテーションを直してイスに戻った。 『すみません、お待たせしました、で、なんの話でしたっけ?』 画面の向こうの彼女は何故かうつむいて肩を少しこわばらせていた。 『白井さん、どうかされましたか?』 『い、いえ、別に、その・・・』 明らかにさっきまでの彼女と様子が違う・・・ 『何か僕の部屋に気に障る物でもありましたか?』 『いえ、そうじゃなくて、その、ダンボー、る・・・』 『ダンボール?ああ、これですか?これが何か?』 彼女の顔からは笑顔が消え、少し震えたような声でこう言った。 『その、そのダンボールの中、見せて頂けませんか!!?』 『・・・は、はい?』 彼女の突然の申し出に僕は固まった・・・ これって、一体どういう状況なんだ!? To Be Continued ~次号へ続く~ 98-2 (´o`)п(´o`*)п(´o`*)п ****************************    【編集後記】 誰しも、ダンボールに仕舞っている物がありますよね。 でも、それが楽しい物や幸せな物だけではないですよね。 辛くて苦しい物も、きっと沢山ある事でしょう。 そして捨てたくても捨てられない、捨てさせてもらえない、 そんな箱もきっとあるでしょう。 それは箱屋として理解しておかなければならないと思っています。 なぜなら、 箱はどんなものであってもそれをしっかり守る為のものだからです。 さて、『箱の中身を見せて欲しい』と言った彼女の真意とは!? 次号もぜひ読んで頂ければ嬉しいです。 今号も最後までお読み下さりありがとうございました。 m(__;)m ライティング兼編集長:メリーゴーランド

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