そのベッド、メイドインお父さん■アースダンボールメルマガVOL146■2022年11月号

『こんなベッドじゃ眠れやしねえ!』 近くに居た男性がわざとみんなに聞こえる声で言った。 避難所でのイライラや不安が募ってしまったんだろう。 災害級大雨の避難指示で私は夫と息子とここに来ていたが、 ここでは町が備蓄していたダンボールベッドを出してくれた。 私にとってこのベッドは全然不便じゃない、むしろ懐かしい。 みんなが不安な夜だけど私はぐっすり眠れそうだ。 まさかこうして、このベッドで寝る時が再び来るなんて。 (´o`)п(´o`)п(´o`)п **************************** 私の父は大工さんです。 大工さんて、職人気質、頑固者、一本気、ぶっきらぼう、 そんなイメージを持つ人もいるかもしれない。 父はまさにそんなイメージ通りの人で、 "自分は不器用ですから" とでも言いそうな雰囲気の人で、 嫌いじゃないけどちょっと苦手で話しかけにくい人だった。 だから私は、何かあるともっぱら母に話していた。 父への用事さえ母をワンクッションして伝達して貰っていた。 それでも何の問題も無く生活できていたからか、 私の事なんて興味も心配も無いんだろう、なんて思っていた。 小学校の時の習い事も、中学校での部活の事も、 高校進学も、大学進学も、全て母だけに話していた。 父はいつもそれを母から聞くだけだった。 頑張ったなとか、楽しかったかとか、父から言われた記憶が無い。 (´o`)п(´o`)п(´o`)п **************************** そんな私も社会人になり、実家から通勤していた。 ある日、どうも体調がすぐれない日が続き、はっと気が付いた。 やっぱり、遅れてる・・・ もしばらく待ったがやっぱり来なかった。 私は自分で検査薬を使ってみて、産婦人科にも行った。 妊娠三か月だった。 あ、ちゃあ・・・どうしよう・・・ それから数日が過ぎたが今回は母にも話せずにいた。 ただ、彼にはすぐに話した。 彼はちゃんと受け入れてくれて結婚しようとも言ってくれた。 それはそれでとても心強かった。でも問題は ・・・父にどう話したらいいか・・・ それに、話したらなんて言われるか。 そう考えると母に話すこ事さえ躊躇してしまっていた。 そうこうしている間に少しづつお腹が出てくる感触を感じた。 多少体調が悪いのは我慢して、家では大きめの服を着て、 どうにかこうにか過ごしていたがそれもそろそろ限界だった。 せんべい布団での寝起きも何となくきつく感じ始めた。 そして気づかないうちにストレスも限界に来ていたらしい。 ___________ そんな中、母が旅行で二日間家を空けることになった。 どうしよう、こんな時にお父さんと二人きり・・・ そんな不安はストレスを更に限界点近くに押し上げた。 その夜、私は突然の腹痛で目が覚めた。 痛い、痛い、痛いよう・・・ 今まで経験した事のない痛みだった・・・ だめだ、これダメなやつだ・・・ 誰か、誰か助けて、お父さん、お父さん!!! 私は声にならない声を振り絞って父を呼んだ。 父はすぐに私の声に気づいて私の部屋まで来てくれた。 『おい、陽菜(ひな)、どうした、大丈夫か、陽菜!!』 『お、とうさん、お腹、痛い。。。』 『待ってろ陽菜、すぐに救急車を呼ぶからな!』 あ、あれ、お父さん、こんなに、取り乱した、顔・・・ 薄れる意識の中で一瞬だけそう感じたが、その先は覚えてない。 次に気が付いた時、私は病院のベッドに居た。 __________ 目を覚ますと、父が横に座って私をじっと見ていた。 『どうだ、まだ痛むか』(´- ` ) 『ううん、大丈夫、痛くない』(´;д;`) 『そうか、よかった』(´- ` ) 『・・・・』(´;д;`) 『強いストレスが胃を直撃したそうだ』(´- ` ) 『強いストレス・・・胃・・・?』(´;д;`) 『ああ、明日には退院できるそうだ』(´- ` ) 『お父さん、私ね・・・う、うう、、』(´;д;`) 『おい泣くな、ただのストレスだ、大丈夫だ』(´- ` ) 『そうじゃないの、そうじゃなくて』(´;д;`) 『だから泣くなって、おなかに、触るだろ』(´- ` ) 『おなか?胃はもう痛くないもん』(´;д;`) 『それもあるが、そのおなかじゃなくて、』(´- ` ) 『そのおなかって、知ってた、の?』(´;д;`) 『ああ、』(´- ` ) 『いつから?』(´;д;`) 『だいぶ前から、多分、母さんもな』(´- ` ) 『そう、だったんだ・・・』(´;д;`) 『もう25年も親子やってるからな』(´- ` ) 『・・・・』(´;д;`) 『救急処置にあたった先生からも聞いた』(´- ` ) 『・・・・』(´;д;`) 『・・・・』(´- ` ) 『あのね、お父さん、私・・・!!』(´;д;`) 『陽菜、いいんだ、いいんだよ』(´- ` ) 『だって私、こんな大事なこと』(´;д;`) 『いいんだ、今はゆっくり休め、』 『でも、でも・・・』(´;д;`) 『安心しろ、大丈夫だ、お前は大丈夫だ』(´- ` ) とても言葉少ない会話だった。 いや、言葉の数は問題じゃない。 私は父の事をこれっぽっちもわかっていなかった。 父は、ずっと私を見てくれていたんだ。 私は馬鹿だ。なんて大馬鹿なんだ。 自分勝手なストレスと二十年もの思い違い。 その両方が一気に洗い流された瞬間だった。 (´o`)п(´o`)п(´o`)п **************************** 翌日、私は退院して父の運転する車で家に戻った。 車中での父は相変わらず無口でそっけなかった。 でもそのいつもさ加減が今はなんだか心地よかった。 家に着くと旅行を1日繰り上げて母も帰ってきていた。 私が部屋で一人横になっていると、コンコン、と父が来た。 『どうだ? 何か不便はないか?』(´- ` ) 『うう~ん、しいて言えば地べたの寝起きが少しきついかな』(o´▽`) 『寝起き?』(´- ` ) 『そう、でもベッド無いからしょうがないけどね』(o´▽`) 『ベッドか。そうか』(´- ` ) そう言うと父はごそごそと家中から何かをかき集め、 私の部屋に持ってきた。沢山のダンボール箱だった。 『みんなサイズがバラバラ、ま、問題ないだろ』(´- ` ) 父はそう言うとそれぞれサイズが違う箱を手際よく解体し、 これまた手際よく加工して、それをくっつけて固定して、 あっという間にそれを作ってしまった。 『ベッドだ、すごい、本物みたい』(o´▽`) 『大工だからな、基本は同じだ』(´- ` ) 『お父さん、ありがとう』(o´▽`) 『楽勝だ』(´- ` ) そう言いながら父の口角がほんの少し上がったのが見えた。 すると今度は母が来て、ベッドの上に布団を移動してくれた。 『いいよ、そのくらい自分でできるから』(o´▽`) 『いいから、もう少しだけゆっくりしてなさい』(´∀`) 『わかった、ありがとう、お母さん』(o´▽`) 『横になってごらん、どう?ダンボールベッド』(´∀`) 『うん、最高だよ、寝起きもきつくなさそう』(o´▽`) 『良かったね。すぐに本物のベッド買うからそれまで・・・』(´∀`) 『いい、これがダメになるまで、これでいい』(o´▽`) 『お父さん手作りだから丈夫で長持ちしちゃうわよ』(´∀`) 『それならそれでいい、これがいい』(o´▽`) 『そ、わかったわ、じゃあとりあえずごゆっくり』(´∀`) それから息子が生まれるまで、私はこのベッドを使い続けた。 念の為と言い、父はしょっちゅう"メンテナンス"をしてくれ、 本当に丈夫で、安心して使い続けることができた。 今日、私はその時の事を思い出しながら眠りについた。 ____________ 真夜中、屋根を打つ強い雨音で私は目を覚ました。 このまま被害が出なければいいけど・・・ ふとあたりを見回すとみんな眠れているようだった。 あの時ベッドに文句を言っていた男性の方を見ると、 小さなイビキをたててスヤスヤと眠っていた。 結局ぐっすり眠っとるんかい!!(*゜∀゜*)ノ 思い知ったか、ダンボールベッドの威力!! さて・・・私ももう少し寝ようかな。 私は小さなガッツポーズを決めて再び眠りについた。 FIN 98-2 (´o`)п(´o`)п(´o`)п ****************************     【編集後記】 日本の人口減少問題を耳にする度に思います。 それは、子供を産み育てたいと思う人達が、 環境的にも経済的にもより安心してそれを実現できるように、 国も社会も人も、もっと良くなって行くといいなという事です。 そしてその為に日々ご尽力なさっている方々に感謝申し上げます。 その為にダンボールでできる事があれば、ぜひ力になりたいです。 あ、そうでした、ダンボールベッドのお話しでしたね。 ダンボールベッドってどんなのかしら?と思われた方、 弊社トップページ ↓↓ https://www.bestcarton.com/ の最上部の検索窓で ダンボールベッド と検索してみて下さい^^ おおお~! ってなるかもです。 最後までお読み下さりありがとうございました。 m(__;)m 11月某日 ライティング兼編集長:メリーゴーランド

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