僕は見た、そしてあなたは美しい■アースダンボール メルマガVOL107■2021年3月号-2

美しいものって一体なんだよ!! 雄大な自然景色? 有名画家の絵画? クラシック音楽? 確かにどれも美しいとは思うけど。 あああ~わかんない! 小学4年生にその課題は酷すぎるよ、先生! でも僕はそろそろ決めなきゃならない。 美しいものって一体何なのかを・・・ 98-2 (´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п ************************************************** あれは僕が小学4年生の時だった。 今でも"美しいもの"を見るとあの時をほんのり思い出す。 それ程、僕に美しさの概念の元になった出来事だった。 それは国語の授業で出た作文の宿題。 題は『私が美しいと思うもの』。   可能ならそのものの写真も添えて。 一週間後の授業で各自発表。 小学4年生はあまり"美しい"という言葉を使わない。 だから皆かなり困った様子だった。 僕はひとまず、現代子っぽくググってみた。 "美しいもの"・・・カチャカチャカチャ・・・検索っと。 1ページ目には、書籍のタイトル、美しいの概念などが出た。 理解はできるけど、なんか心が動かなかった。 そこで僕は母親に聞いてみた。 『ねえ、母ちゃん、美しいものって、何だと思う?』 『ええ?ダイヤとか、真珠とか、ブランドバッグとか~!!』 『そっか、そうだよね、確かに美しいよね』 またしても僕の心は動かなかった。 そこで今度は父親に聞いてみた。 『ねえ、父ちゃんにとって美しいものって、なに?』 『ええ?? そりゃお前・・・  石○さとみとか、桐○美玲とか、エ○ワトソンとか~!!』 『美人の女優さんばっかだね・・・』 『そりゃそうさ、お前も大人になればわかるさ。  でもまあ、一番美しいのは母さんだけどな』 『ああ、そこ重要だよね。お父さん的に』 『だろ?そんなお父さんの心が美しいだろ~。なんてね』 んん? 心が美しい? なるほど、そういうのもあるか。 僕の心が"ピクッと"少しだけ動いた。 更にその時、つけていたラジオからこんな曲が流れた。 "それではリクエスト曲をお送りしましょう!  ラジオネーム 赤い彗星さん からのリクエストです。  ザ・ブルーハーツで、リンダリンダ" ド~ブネズミ~、みたいに~、美しくなり~たい~♪ 写真~には~、写らない~、美しさ、があるから~♪ リンダリンダ~!!♪リンダリンダリンダ~あ~!!♪ んん?ドブネズミが美しい?写真には写らない? 僕の心が、今度は"ピクピクっと"2回動いた。 『父ちゃん父ちゃん!この曲知ってる!?』 『勿論!俺の青春ど真ん中の曲だ。最高だよな、リンダリンダ~♪』 『うん、わかんないけど、なんかいい感じだよね』 (´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п ************************************************** 僕はおぼろげながら何か書けそうな感じがしていたが、 文章にするにはもう少し具体的な感情が必要だった。 その夜、父がテレビでボクシング世界タイトルマッチを観ていた。 普段ボクシングに興味が無い僕も隣で何となく見ていた。 試合は最終ラウンドまで進み、激闘の末挑戦者が勝利した。 両者とも最後まで闘いきってズタズタのボロボロだった。 そして敗者となった前チャンピオンのインタビューで、 彼は既にボロボロなのに大泣きに泣きながら "すみません、ベルト守れなかった、ホントにごめんなさい" と、何度も何度も謝っていた。一体誰に謝ってるんだ? 全力で闘いきって破れた彼を誰が責めるというんだろう。 それ程、絶対に守りたいものだったんだろうな。 そう思うと、僕も泣けてきてしまった。 その時、その選手の姿に"美しい"に似た感情を感じた・・・。 ______________ ボクシング中継が終わったのは夜9時前。 9時からは"映画ドラえもん"がやっていたので、 宿題の思案そっちのけでテレビに向かった。 しかし、さっきと似た感情をまたもや味わうことになった。 のび太はジャイアンにぼっこぼこにされているのに、 何度やられても立ち上がってジャイアンに向かっていく。 どれだけやられようと、何度でも、何度でも。 未来に帰ってしまうドラえもんを安心させる為に・・・ ふと隣で見ている父を見ると涙でボロボロだった。 『のび太くんにもよ~、守りたいもんがあんだよな~。  美しい、美しいよな~、こののび太くんさあ~』 と、父は画面と僕を交互に見て泣きながらそう言った。 大事な物を必死で守るのび太が美しいか・・・ 素直に僕もそう思えた。 (´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п ************************************************** その翌日。僕に宅配便でダンボール箱が届いた。 それは海外のショップにしかない超レアグッズで、 父に何度も頼み込んで取り寄せてもらったものだった。 そしてその箱を玄関で受け取った時だった・・・!! 更に、緊張しながら箱を開封した時だった・・・!! ハイテンションでグッズを握りしめたその瞬間に、 作文のテーマが決まった。 _____________ そして作文発表の日、僕の番になった。 僕が用意した写真をみんなに見せると、 みんなの目が丸くなった。そしてざわめき始めた。 98-2 『あれが美しい・・?どうかしてんじゃねえの??』 その写真は、レアグッズが入っていたダンボール箱。 何か所も潰れて汚れてボッコボコになったダンボール箱だ。 『おおい、みんな静かに~!じゃあ、作文を聞かせてくれ』 先生がそう言うと、みんな僕の読み初めを静かに待った。 『僕が美しいと思うもの。  僕が美しいと思うのは、このボコボコのダンボール箱です。  多分、皆にはちっとも美しく見えないかもしれません。  でも、僕にはとても美しく見えます』。 僕は一旦、皆の顔を見た。皆が続きを待った・・・ 『僕はこの宿題が出てから美しいものについて考えました。  そして、美しいものというのはもしかしたら、  一見して美しく見えるものだけじゃないのかもしれない、  それから、目には見えないものの中にもあるのかもしれない、  それから、言葉には表せないような美しさもあるかもしれない、  そう思いました』。 僕を見る皆の目つきが少し真剣さを帯びてきた・・・ 『先日テレビで観たボクシングの世界タイトルマッチ、  ボロボロになった敗者の涙がとても美しいと思いました。  それからその後にテレビで観たドラえもんの映画、  ボコボコになっても闘うのび太を美しいと思いました。  大切なもの守る為に闘う姿が、とても美しく見えました。  このボロボロのダンボール箱もそうです。  この箱は沢山の人の手を渡って僕のところに来ました。   箱を作ってくれた人、商品を箱に入れてくれた人、  商品を宅配便に渡してくれた人、受け取ってくれた宅配便の人、  箱を飛行機に積み込んでくれた人、箱を仕分けしてくれた人、  僕の家まで届けてくれた人・・・  その人達みんなが、無事に届くように働いてくれました。  つまりそれは、商品が届いて喜ぶ人の笑顔の為に、  つまりそれは、僕の笑顔を守る為に、  闘ってくれたんじゃないか、そう思えたんです。  わざと箱を傷つける人なんていません。  箱を運ぶ上で箱が傷つくのは仕方ない部分もあります。  だからこの箱自身もこんなにボロボロになりながらも、  無事に商品を僕まで運ぶ為に闘ってくれたんじゃないか、  そう思えたんです。  おかげで箱の中の商品は無事でした。  美しいと言ってもいいものかどうかわかりませんが、  誰が何と言おうと、僕はこの箱を美しいと思います』。 (´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п ************************************************** あれから12年、僕は今、就職活動の真っ最中だ。 そんな中、ある企業のスタッフ募集記事の企業紹介欄に、 "一風変わったメルマガがちょっぴり話題の企業"と書いてあった。 なんぞ・・? とそのメルマガのバックナンバーを読んだ。 "な、なんちゅうメルマガだよ! でも、なんか・・・ そこにはあの作文の時に味わった感覚と似た感覚があった。 "ダンボールにこんな感性を吹き込むなんて・・・" 以来、第一志望はその企業になり、今日はその企業の採用面接。 『では次の方、どうぞお入り下さい』(*^-^) 『は、はい、宜しくお願いします!!』(^□^*) 『貴方の、弊社、アースダンボールを志望する理由は?』(^ω^) 『はい、それは・・・・・』(*´∀`*) FIN ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━     【編集後記・へんしゅうこうき】 SNSを見ると、 沢山のダンボールアーティストさんが活躍されています。 どの作品も凄く綺麗で美しいな~と、いつも思わされます。 で、うちが表現できるダンボールの美しさって何だろう? と思ったのが今回の執筆の始まりでした。 そして執筆の途中でもっと凄いことに気づきました。 大切な物を守る為に貴方が想いを込めた商品やサービス、 そんな美しいものを運べる箱を作れて幸せだと。 そして箱が潰れることでそれを"守る事ができるなら" うちの箱達は喜んでボコボコになります。 最後までお読み下さりありがとうございました。 m(__;)m ライティング兼編集長:メリーゴーランド

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