小さな男の子 大きな女の子■アースダンボール メルマガVOL99■2020年11月号-2

100歳を超えたワシは今、中学生の恋路を応援しとる。 よく知ってる子達じゃからとても気になるんじゃよ。 ああ、申し遅れてすまんな。ワシはダンボール箱なんじゃが、 もうこの中学校で15年も使うてもろうとるんで、 人間でいうと100歳は超えとるかのう。 で、ワシが応援したいのはこの中学校の二年生でな、 藤代くんと神崎さんという生徒さんなんじゃ。 (´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п ************************************************** ワシは普段、校舎4階の用具室におるんじゃが、 週に一度、各組のクラス委員が集まる集会用の道具を入れて、 2階の集会室まで運ばれるんじゃ。 ワシは軽いんじゃがサイズがちょっと大きめなでな、 体格の大きい子なら何とか一人で持てなくもないんじゃが、 大抵の子達は一人じゃ持てんから二人で運ぶんじゃ。 そもそも最初から集会室に置けば、という意見も出たんじゃが、 なんでもこの学校の卒業生で宇宙飛行士がおってな、 その人が在学中にたまたまそうし始めたらしくての、 縁起がいいからとかで今でもワシを使うてくれとるんじゃ。 藤代くんと神崎さんはワシを運んでくれる係なんじゃ。 この二人はちょっと特徴的でのう。 藤代くんは学年で一番背が低くて、神崎さんは一番高いんじゃ。 だから二人で運ぶとワシは斜めになってしまうんじゃが、 二人は互い思いやっておってのう。 藤代くんは少しでも位置を上げようと腕を上げ気味に、 神崎さんは少しでも位置を下げようと腰を屈めるんじゃ。 ほんの数分じゃが、体には負担がかかる運び方じゃよ。 でも二人は互いに相手の負担を軽減しようとしててな。 そして、そんな二人に運ばれればすぐにわかるんじゃ。 二人は互いに好き同志ってことがのう。 そんな二人に運ばれるのがワシは楽しみなんじゃ。 (´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п ************************************************** でもこの二人、まだどっちからも告白しとらんのじゃよ。 互いの友達にも相談もせんし打ち明けてもおらん。 そして周りもだ~れも気づいてもおらん。 それどころか悲しいことに、 藤代くんは 『僕みたいなチビな男じゃ神崎さんとつり合えないよな』 神崎さんは 『私みたいなデカい女と一緒じゃ藤代くんは嫌だろうな』 なんて互いに思うとるんじゃ。 なんとも切ないのう。ワシはお似合いじゃと思うんじゃが・・・ これだけ互いに想うとるのに気持ちを伝えんとはのう。 二人でワシを持つ時、互いを気遣ってることはわかる筈じゃ。 二人の手からは相手への"好き"が痛いほどワシに伝わってくるのに、 ワシにはそれを互いに伝えてやることは出来んのじゃ。 それに藤代くんは卓球部、神崎さんはバスケ部、 普段仲のいいグループも勿論別々じゃ。 二人の接点は、週一のクラス委員集会しかないんじゃ。 つまり、ワシを運んどる時なんじゃよ。 ______________ そんなワシの心配に追い打ちをかける事があったんじゃ。 半年に一度の委員会の再選出なんじゃが、 神崎さんは後期も続行になったんだがのう、 藤代くんがクラス委員から外れてしもうたんじゃ。 藤代くんと、もう一人高田くんという子が立候補したんじゃが、 事もあろうにクラスのみんなが 『あのダンボール運ぶんなら高田くんの方がいいんじゃね』 という意見に賛成してしまってのう。 確かに高田くんは体格がとてもいい子なんじゃが・・・ 藤代くんも神崎さんも、顔は笑っておっったがどこか寂しそうじゃった。 ワシも残念で仕方なかった。 そんな二人の悲哀を、ワシ以外誰も知らんのじゃからのう。 ____________ そして後期の委員会集会が始まったんじゃが、 高田くんはワシを一人で運んでしまえるんじゃ。 一応、神崎さんも一緒に来るんじゃが、 高田くんは『俺一人で運べるから大丈夫だよ』と言ってのお。 神崎さんは高田くんの後ろをトボトボ着いていくだけじゃった。 ワシと神崎さんしかいない時に、神崎さんはボソっと言うとった。 『あ~あ、なんでこうなるかな・・・運びたいな、また一緒に』 そうじゃよな、そうじゃよなあ。 その切なさ、100歳のワシにもわかるぞ、神崎さんよ。 ダンボール箱に独り言を愚痴る程じゃからのう。 そしてそれは藤代くんも同じだったんじゃ。 高田くんがワシを運ぶ姿を時々遠くから見ておったりしてのう。 ワシの保管してある部屋に来て、ボソっとこう言うとった。 『俺、なんでこんなに小っちぇえんだろ・・・』 体格は如何ともしがたいが、悔しいじゃろうな、藤代くんよ。 ワシが、ロマンスの神様へのコネでも持ってたらのう。 そう・・・願ったからかどうかはわからんが、 そんな二人にちょっとしたチャンスが来たんじゃ!! (´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п ************************************************** クラス委員集会のある日、 高田くんが風邪で学校を休んでしまったんじゃ。 だから神崎さんは一人でワシを用具室に取りに来たんじゃ。 神崎さんならなんとか一人で持てない事もないからのう。 一人で『よいしょ』とワシを持って歩き出したんじゃ。 おい、藤代くん、どこにおる!? これはチャンスじゃ! でも彼は別の委員会に参加中で近くにはおらんかった。 神崎さんも何となく期待しちょったんじゃが・・・ まったく、間の悪い奴じゃ・・・ 委員会後に神崎さんは再びワシを持って歩き出したんじゃが、 そう都合よく藤代くんが現れる訳は無いよのう・・・ 神崎さんは仕方なく歩き出したんじゃ。 階段を昇る手前で神崎さんは一度ワシを降ろして 『ふう~』と深い息を一回付き、 『よいしょ!』と声を出して再びワシを持ち上げたんじゃ。 そして階段の一段目に足を乗せようとした時、 神崎さんは足を引っかけてしまったんじゃ!! いかん、倒れてしまう!! と思った次の瞬間・・・! 誰かがワシを逆から支えて転倒を防いだんじゃ。 『大丈夫!? 神崎さん』 『ふ・・・藤代、くん、、あ、ありがとう。うん大丈夫』 『手伝うよ。運ぶの』 『う、うん。うん!ありがとう。助かる(嬉しい!)』 ナイスじゃ!!ナイスタイミングじゃ!!藤代くん!! ワシは信じとった!! 信じとったぞ!! やっぱり藤代くんじゃ!!お前はやる時はやる男じゃ!! 二人は恥ずかしそうに、でも嬉しそうにワシを運んだんじゃ。 ワシらが歩く廊下にはオレンジ色の夕日が差し込んでてのう、 なんだかここだけ時間の流れが別のように綺麗じゃった。 箱を二人で運ぶ・・・たった、たったそれだけの事じゃのに、 二人には何よりも幸せなことなんじゃなあ。 二人の手からあの懐かしい優しい感じが伝わってきてのう。 ワシもとっても幸せな気持ちになれたんじゃ。 98-2 でも時間はあっという間に過ぎてしもうてのう。 何の会話もせずに4階の用具室に着いてしまったんじゃ。 チャンスなんじゃが、チャンスなんじゃがのう・・・ おい、二人とも、もうどっちでもええわい。 なんかキッカケ作らんか!! 二人には聞こえない声でワシがそう叫んだ時じゃった。 神崎さんがこう言ったんじゃ。 『あ、、あの、忘れ物。忘れ物しちゃったかも。  集会室に・・・。  このまま、このままもう一回、集会室に戻ってもいい!?』 神崎さんの顔は真っ赤じゃった。夕日のせいじゃなくな。 『うん、いいよ。忘れ物、取りに行こう』 "月がとっても青いから♪ 遠回りして帰ろう♪" ワシは思わず歌ってしもうた。 "夕日がとっても赤いから♪ 忘れもの取りに行こう♪" さあ藤代くん、今度はお前の番じゃぞ。 神崎さんが勇気を出して作ったアディショナルタイムなんじゃ。 しかもペナルティキックくらいの得点チャンスじゃ。 こっから先は聞かないフリしといてやるからのう。 しっかり決めるんじゃぞ。 今夜は久しぶりに『小さな恋のメロディ』のDVDでも見るかのう。 FIN (´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п **************************************************     【編集後記・へんしゅうこうき】 旅行っていいですよね。 美味しい食事もいいですよね。 ライブに酔うのも、スポーツで汗をかくのも、いいですよね。 それが大好きな人とだったら、尚いいですよね。 そして大好きな人とだったら、 一緒にダンボール箱を運ぶだけでも幸せですよね。 ダンボール専門店として、 こんなダンボール箱での幸せづくりもお伝えしたく、 今回執筆させて頂きました。 そしてお陰様で次号はいよいよVOL100号です。 今回はそれになぞらえ、100歳の箱に語って頂きました。 あなたとお~♪ 持ちたい~♪ だんぼおお~るう~ばこお~(/_ _ )/~♪(By石川さゆり子) ちと古いかのう・・・ 今号も最後までお読み頂きありがとうございました。 m(__;)m 11月某日 ライティング兼編集長:メリーゴーランド

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