押入れ奥のダンボール ～パート1～■アースダンボール メルマガVOL８６■2020年5月号

人の心の奥底と同じ場所が、実は家にもある。 それが押入れの奥。 そこにあるのは夢か希望か。 それともひっそり隠した思い出か？ ８年目に突入するこのメルマガに 新たなシリーズ　『押入れ奥のダンボール』 第一回は一体どんな・・・！？ （´o｀)п(´o｀)п(´o｀)п(´o｀)п(´o｀)п ************************************************** 私の両親は私が幼い頃に離婚した。 私と３つ年上の兄は父と暮らすことになり、 母は家を出て一人で暮らしていた。 離婚なんてそんなに珍しい事じゃない。 私はそんな風に割り切ってたような少しドライな子供だった。 でも、私は真実を理解できていなかった。 何にもわかっていなかった。 私はずっと、父と母は互いが嫌いで離婚したんだと、 離婚した後は互いに何でもないものなんだと、 そんな風に思い込んでいた。 （´o｀)п(´o｀)п(´o｀)п(´o｀)п(´o｀)п ************************************************** 私と兄は、父に内緒で時々母と会っていた。 別に法律的な取り決めはなかったが、何となく父には内緒にしていた。 勿論、父は知っていただろう。 それは私が大人になって就職してからも続いていた。 兄も同じだった。よく母と兄と３人でお酒も飲んだ。 母は私の友達関係や仕事の悩みなんかも聞いてくれた。 母親視点のアドバイスもいっぱいくれた。 でも『恋愛のアドバイスだけは私に聞かないでね』と、 母はいつも笑いながらそう言っていた。 それが私達のごく普通の日常だった。 両親離婚の不幸せなど全く無く、むしろ幸せな家族の日常だった。 でも私が２５才の時、母は病気で亡くなった。 まだ６０才だし、人生もこれから楽しめたはずなのに。 孫の顔も見せてあげられなかった・・・ （´o｀)п(´o｀)п(´o｀)п(´o｀)п(´o｀)п ************************************************** 生前、母は私と兄に向けて 『少ないけどこの貯金を息子と娘に』という遺言を残していた。 そこで、私と兄が母の遺品整理をすることになった。 一人暮らしの母が借りていた部屋は小さく、物も少なかったが、 押入れの中だけは何やら沢山しまってあった。 それらを一つ一つ出して、選別して、処分を判断して、 そうしていくうちに押入れの中は片付いてきた。 そして押入れの一番奥の一番隅っこまで来た時、 あるダンボール箱があった。 一番奥の隅っこの一番下。 それはつまり一番取り出しにくいところ・・・ ただその箱、何となく見覚えのある箱だった。 箱のふたを開けてみると・・・ 中には古いビデオテープが数本しまってあった。 『お兄ちゃん、見て見て、ビデオテープ！！』 『ホントだ！　そういえば母さん、俺達が小さい頃、 　よくビデオ撮ってたよな～。ここにとってあったのか。』 ビデオ好きだった母らしく、 テープは背表紙にタイトルが書かれたカバーに入って、 に時系列順にキレイに並んでいた。 1999年、お花見、 1999年、海水浴、 2000年、保育園運動会、 2000年、・・・・・・ でも、なぜか一巻だけ、カバーから出されたテープが 並んだテープの上にただ置かれていた。 最後に見たのがこれだったのかな・・・？ タイトルは、2001年、とだけ書かれてあった。 『へんねえ、他はみんな、年+出来事名、のタイトルなのに』 私は少し考えて兄にこう言った。 『ねえお兄ちゃん、これ見て見ない？ 　ほら、古いけどプレーヤーもあるし、テレビにもつながりそう』。 『ああ、うん、そだな、ちょっと見てみよっか』 私はテレビにプレーヤーのコードをつなげた。 テープは最後まで再生された状態だったので最初まで巻き戻し、 再生ボタンを押した。 そこに映っていたのは・・・・ 小さかった私と兄が、 家の中でただキャッキャと遊んでいる映像だった。 私はダンボール箱の中に入って縮こまり、 飛び出てお兄ちゃんを『わあ！』っておどかす。 そんな事を何度も繰り返して私と兄はケラケラと笑っていた。 その横では父が『あはははは！』と大笑いしていた。 それはとっても楽しそうで、幸せ以外の何でもなくて・・・ 『ほらお兄ちゃん、見て、ここに映ってるダンボール箱！』 『うん、ここにあるこのダンボール箱だな』 『そっか、ここに映ってる箱をテープの保存箱にしたんだね。』 私と兄は、ただ黙って映像を見つめ続けた。 すると映像の中でひとしきり騒いだ私が突然、 『ねえ、私にカメラ貸してえ～』と母からカメラを取り上げた。 急に映像がブレたが、私は楽しそうにカメラを回した。 そして、私は母を撮りながらこんなことを言った・・・。 『ねえ、パパとママ、チューしてえ～～』 父と母は突然の小さな演出家の指示に戸惑いながら、 『ええええ～はずかしいなあ～』なんて言っていた。 すると兄が父と母の手を引っ張って二人をくっつけた。 『も～、しょうがないな～』そう言いながら、 二人は半笑いの顔でゆっくりと唇をくっつけた。 そして、テープはちょうどここで録画時間いっぱいになっていた。 私と兄は、またしばらく黙り込んだ。 今度は少し長かった・・・・・・・ 両親が離婚したのはこの映像の日から半年後。 『う、うう、ねえ、お兄ちゃん、父さんと母さん、 　なんで離婚しちゃったんだろう。こんなに、こんなに仲いいのに。 　この日から半年だよ、半年しか経たないうちに、なんで・・・』 『それは、ほんと、なんでだろうな。わかんないよ。 　でも、二人にしかわからない、どうしてもの理由があったんだよ。 　だって誰がどう見たって、家族4人全員が全員を愛してるじゃん。 　母さん、離婚した後も親父の文句とか全く言ってなかったしな。 　父さんも同じように母さんの文句なんて言ってなかったしな。』 『私たち、父さんと母さんのことわかったような顔して、 　聞き分けのいい子供を演じてただけで、本当は、本当は 　何もわかってないのかもね』 『そうかもな・・・。 　でも、今日一つ分かったじゃないか。 　たぶん母さん、ずっと父さんの事、想い続けてたんだよ。 　たぶん、父さんも。 　このテープ見つけた時さ、テープが最後まで行ってたじゃん。 　二人のチューの場面までさ。 　もし嫌いな人とのだったら、絶対見返したりしないよ。 　それに、テープのラベルもダンボールの底も結構擦り切れてる。 　きっと、箱もテープも何度も出し入れしたんじゃないかな。』 『どういうこと？』 『うん、このテープ、懐かしさも辛さもあったんじゃないのかな。 　寂しくなって、見たくなって、でも見ると切なくなって・・・ 　もう見ないつもりで押入れの一番奥にしまって、 　でも我慢できなくてまた引っ張り出して、 　今度こそもう見ないってしまって、でもまた出して・・・ 　そんな繰り返しをしてたんじゃないかな。 　何度も、何度も、、、。想像だけどね。』 『うう、うう、、うああん、母さん、お母さん、、、』 私は、次から次にあふれ出る涙を止めることができなかった。 兄はそんな私の背中を　ポン　っと叩いてくれた。 『おにいじゃん、ぐす、、ねえこれ、私が持って帰る。いい？』 『ああ、そうしろよ。母さんも喜ぶよ。 　たぶん、母さんの想いを一番近くで、ずっと見てくれてたのが 　このダンボール箱だろうからな。』 ＦＩＮ （´o｀)п(´o｀)п(´o｀)п(´o｀)п(´o｀)п ************************************************** 　　　　【編集後記・へんしゅうこうき】 あなたには、どこか奥にしまったダンボール箱はありますか？ もしかして、これを読んでハタとある箱を思い出したとか(^^) その箱には、何が入ってますか？ その箱が再び開くことはありますか？ それはいつですか？ 読者様に質問ばかりの編集後記なんて変ですよね。 確かにそうなんですが、そんなところにも 私達がダンボール箱を作る意味を、強く感じてしまうのです(^^) 最後までお読み頂きありがとうございました。 ｍ(＿＿；)ｍ ５月某日　ライティング 兼 編集長：メリーゴーランド （´o｀)п(´o｀)п(´o｀)п(´o｀)п(´o｀)п ************************************************** ■このメルマガへの感想、ご意見、ご不満、応援メッセージなどは、 このメールへそのままご返信ければＯＫです。 ┏┏┏┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┏╋┏　　株式会社アースダンボール ┏┏■　　362-0811　埼玉県北足立郡伊奈町西小針7丁目17番地 ┏　　　　　　　　　TEL:048-728-9202　FAX:048-728-9130 ┃　　　　　　　　　mail:info@bestcarton.com ┃　　　　http://www.bestcarton.jp/　(オーダーメイド) ┃　　　　http://www.bestcarton.com/　(既　製　品) ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ☆☆☆　アースダンボールお勧め新商品　☆☆☆ ■ダンボール感をそんなに感じないダンボール台 　これなら展示台にも使えるね！！ 商品ＩＤ　0612　【Sサイズ／長辺700mm】展示台・作業台 クラフト色（700×300×700） はこちらです↓↓ https://www.bestcarton.com/cardboard/order-box/0612.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ☆☆☆　中部・関西地域への送料を大幅値下げ！！　☆☆☆ この度の送料改定に伴い、最低送料地域を大幅に拡大！！ 中部・関西地域へ東京都と同じ最低送料（599円、税抜き）でお届けできるようになりました！！ この機会にぜひご注文くださいませ。 ※最安の送料は本社出荷の場合に適用されます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━